「口腔がん」 初期は気付きづらい

 

 最近の口腔(こうくう)がんに対する治療法の発展には目覚ましいものがあります。いまだに手術が第1選択となる場合は少なくありませんが、必ずしも手術で取るばかりでなく、放射線治療や抗がん剤などの治療成績が手術と同等、あるいはそれ以上の成績を上げるようになったものもあります。

 放射線治療は、照射の仕方が多様になり、放射線の種類も増え、副作用も少なく抑える工夫がなされています。抗がん剤の種類も多くなり、他の部位のがんに有効な薬も口腔がんに使われるようになりました。また、がんの近くにのみ投与する方法が開発されるなど、投与法も多岐にわたっています。

 その一方で、万能な治療法があるわけではなく、その患者さんの病状に合わせた治療法の組み合わせや選択をしなければなりません。また、肺がんや胃がんなどの他部の治療法がそのまま当てはまるわけでもありません。どんなに治療法が進歩したとしても、一番有効なのは早期発見です。

 口腔がんは目に見える臓器にもかかわらず、早期発見がしづらいがんと言われています。その理由は、口内炎などの類似疾患が多く口腔内の形状も多様なため、初期のがんに気付きづらいことがあげられます。まずは、少しでも異常と思ったら歯科医院を受診し、かかりつけ歯科医での定期的な口腔健康管理とともに、口腔内の検診を怠らないようにしましょう。

 (県歯科医師会)