「唾液検査」 個人ごとの予防に生かす

 

 唾液の検査をすることで、あなたの唾液やお口の中の細菌の性質が分かるだけでなく、それをむし歯予防に生かせるようになります。唾液検査が教えてくれることは三つあります。

 一つ目は唾液の量です。唾液は食べかすや細菌を洗い流したり、歯を補修(再石灰化)したり、細菌の繁殖を抑制したりと、むし歯予防にとても大切です。唾液の分泌量が多いほど、その効果は高まります。

 二つ目は唾液の力です。食後、お口の中はむし歯菌の酸により歯が溶けやすい酸性の環境に傾きますが、唾液により中性の環境に戻っていきます。唾液の力(中和作用)の強弱で、戻るスピードは変わります。ただし唾液の力が弱くても、唾液がたくさん分泌されれば、その分をカバーできる場合もあります。

 三つ目はむし歯菌の数です。お口の中のミュータンス菌やラクトバシラス菌が、指標となる数と比べてどの程度かを調べます。

 ミュータンス菌はむし歯のきっかけを作る菌、ラクトバシラス菌はむし歯を進行させる菌です。むし歯菌が多くても、唾液の量や力が強ければ、その活動を抑えられます。

 唾液検査は、唾液や細菌の性質を調べて終わりではありません。その検査結果によって見えないリスクを知り、それを個人に合わせた予防に生かす、それが歯科の唾液検査です。(県歯科医師会)