「入れ歯の効用」 かめる状態維持が大切

 

 「歯がある人は丈夫で長生き」は本当でしょうか?

 千人以上の高齢者を対象に行った調査では、〈1〉かみ合わせが安定している〈2〉かみ合わせが不安定〈3〉かみ合わせが全くない―の3グループに分け、8年間にわたり生存率を調べたところ、かみ合わせが良い人ほど生存率が高く、かみ合わせがない人ほど生存率が低くなっていました。

 入れ歯を使っている人と入れ歯を使っていない人でも、生存率に大きな差がありました。もし歯を失っていても、入れ歯を使ってかめる状態を維持すれば、より長生きできるということになります。

 また、「歯が20本以上残っている人」と「19本以下で入れ歯を使っていない人」の転倒リスクを比べたところ、歯が19本以下の人は2・5倍も転倒リスクが高いことが分かりました。そこで高齢者の方に入れ歯を入れていただき、その後1年間の転倒回数を調べると回数が減っていました。

 認知症との関係については、〈1〉20本以上歯が残っている人〈2〉19本以下の人〈3〉歯がほとんどなく入れ歯を使っている人〈4〉歯がほとんどなく入れ歯を使っていない人―に分けて割合を調べました。結果は、歯が多く残っている人ほど認知症の割合が低く、歯がなくとも入れ歯を使っている人はそれほど大きな差はありませんでした。このように歯と入れ歯は、健やかな老後を送るための大切なアイテムなのです。

 (県歯科医師会)