「義歯の不具合」 修理調整、またぴったり

 

 とある日曜日の昼下がり、公園のベンチにポツンと義歯がありました。ちょっと前に通りかかった時、確かこのベンチで2人のおばさまが楽しそうに身ぶり手ぶりで会話している姿にほほ笑ましく思ったものでした。しかし、まったく気づかずに義歯を忘れちゃうのですから、そうとう楽しかったのでしょう。忘れてしまうことは、たまにあることです。

 義歯を装着することで、食べ物をかめるようになり、発音が明瞭になり、顔貌が整えられます。しかし、義歯を維持する歯ぐきである顎堤(がくてい)が時間の経過や急激な体重の減少などで骨吸収が起こること、食べ物を咀嚼(そしゃく)することで人工の歯の部分がすり減り、かみ合わせが不良となることがあります。すると次第に義歯の安定性が損なわれ、外れやすくなることや、強く当たる部分ができて痛みが生じることになります。

 ほとんどの場合、お使いの義歯を修理調整することで、ぴったりとした状態に復元できる可能性があります。義歯の内面の調整や、すり減った人工の歯の部分を補正し、かみ合わせを調整することもあります。

 いずれの場合も、良好に食べられていたのに、少しずつの変化として表れる義歯の不具合ということになりますので、かかりつけの歯科医院を受診されてみてはいかがでしょうか。

 (県歯科医師会)