むし歯は「治療する」から「予防する」時代へシフトしています。

　今回は幼児期～学童期の小児におけるむし歯予防に有効なフィッシャーシーラント（以下シーラント）について解説します。

　シーラントとは、奥歯や前歯の細かい溝をプラスチック樹脂で埋めてむし歯の発生を予防する方法です。ごく初期のむし歯と診断された乳歯や６～１２歳までの生えたばかりのむし歯のない永久歯が対象となります。こうした歯は成熟した永久歯と比べて成分が未熟であり、歯の溝がしっかりしているため、むし歯のリスクが高くなるのです。

　シーラントはむし歯の治療と違い、歯を削ることはありません。歯の清掃後に歯の溝だけを埋めるので痛みがなく、小さな子どもにとって負担が軽く、比較的楽に処置を受けることができます。

　しかし、プラークコントロールが不良だったり、シーラントが欠けたり取れたりしてしまうと、やはりむし歯になりやすくなってしまいます。シーラントを行った歯でも油断せずにきちんと歯を磨き、保護者の仕上げ磨きも欠かさないようにしましょう。そして歯科医院で定期的にチェックしてもらうことも重要です。子どもの奥歯の乳歯や永久歯が生えてきたら歯を守ってあげる良いタイミングです。むし歯になる前に、早めの「予防」をしましょう。

　（県歯科医師会）