「歯周病」 認知機能、悪化の可能性

 

 アルツハイマー型認知症は、もの忘れから気付くことが多く、徘徊(はいかい)、不安、幻覚、判断力低下、怒りっぽくなる、記憶障害、意欲がなくなる、話す言葉が理解できない、うつ状態などがあります。

 加齢による"もの忘れ"とアルツハイマー型認知症の"もの忘れ"との違いは、日常生活における支障の有無です。アルツハイマー型認知症は、脳にアミロイドベータやタウタンパクというタンパク質が異常にたまり、それに伴い脳細胞が損傷したり神経伝達物質が減少したりして、脳全体が萎縮して起こると考えられています(諸説あり)。

 歯周病とアルツハイマー型認知症の因果関係はまだ分かっていないものの、動物実験の結果は、歯周病がアルツハイマー病の悪化因子であることを示唆しています。アルツハイマー型認知症に罹患(りかん)した動物実験のマウスに意図的に歯周病を発症させると、歯周病のないマウスよりも認知機能が悪化。研究者は、口の中の歯周病菌や炎症のもととなる物質などが血流で脳に運ばれて何らかの影響を与えているのではと考察しています。

 歯周病がアルツハイマー病を悪化させる要素ならば、歯周病の治療はアルツハイマー病の進行を遅らせる有効な手段になり得るかもしれません。かかりつけの歯科医院に定期的に通院し、歯石除去などのオーラルケアとオーラルヘルスを維持しましょう。

 (県歯科医師会)