「健康寿命」 歯が多いほど「長寿」に

 

 寿命の目安には「健康寿命」と「平均寿命」という言葉があります。2013(平成25)年の日本人の平均寿命は女性86.61歳、男性80.21歳で世界トップクラス。一方、健康寿命は女性74.21歳、男性71.19歳です。健康寿命と平均寿命の差は、それぞれ12.4年、9.02年。それは誰かに世話になる年数を示します。

 主な死因はがん(悪性新生物)、次いで心疾患、肺炎、脳血管疾患ですが、要介護が必要になる原因の疾患は脳卒中が最も多く、次いで認知症、高齢による衰弱、関節疾患など。そこで歯が多く残っている人や歯を失っても義歯などで入れている人は、そうでない人と比較すると、認知症の発症や転倒のリスクが低いというデータがあります。

 さらに歯が19歯以下で入れ歯を使用していない人は20歯以上保有している人と比較して転倒リスクが2.5倍になることが分かっています。また、保有する歯が19歯以下の人は20歯以上の人と比較して1.2倍要介護認定を受けやすいという結果も出ています。つまり歯が多い人ほど健康寿命が長いのです。

 コロナ禍で歯科医院は感染リスクが高いという誤った認識を持つ方々、コロナ禍以前から歯科医院はスタンダードプリコーション(感染の有無にかかわらず未知の感染症に対して予防策を講じる)を実施していますので安心して口腔(こうくう)ケアを続けてください。

 (県歯科医師会)