「薬の使用と歯科治療」 服薬状況正確に伝える

 

 日本では高齢化が進み、さまざまな問題を生んでいます。歯科においては高齢者の増加で薬剤の使用者が増え、それらに対応しなければならない頻度が増加しました。

 通常は薬剤を使用することで全身状態は安定し、歯科治療はやりやすくなるのですが、使用することで口腔(こうくう)内に異常を来す可能性のある薬剤も少なからずあり、歯科治療時に気をつけなければならない事例は増加しています。

 例えば、処置時に気をつけなければならない代表的な薬剤は「抗血栓剤」ですが、それらには抗血小板剤と抗凝固剤があり、種類によって対応が異なります。自分が服薬している薬剤を正確に歯科医院に伝えていれば、術後の合併症を防ぐことができますので、しっかりと伝えるようにしましょう。

 また、薬剤によって口腔領域に発症する代表的な疾患は「薬剤性顎骨壊死(えし)」があります。骨粗しょう症に用いられる「ビスホスホネート製剤」が代表的な薬剤ですが、他にも同じような副作用がある薬剤は多種類あり、用法や用量、あるいは投与方法なども多岐にわたり、お薬手帳だけでは把握できなくなります。

 これらに対応するには、患者さんが何の病気で、何の薬を、いつ、どの程度、どのように投与されているかを正確に知ることが必要です。歯科治療時には、それらをしっかりと伝えましょう。