「高齢者のむし歯」 加齢・服薬、リスク高まる

 

 若い世代では主にむし歯が歯を失う原因となりますが、年齢が進むにつれ歯周病が要因となる率が高まる傾向にあります。しかし、それは高齢になるとむし歯が減るのではなく、むし歯になる歯自体が失われることに起因しています。高齢者であってもむし歯のリスクはむしろ高まると言っても過言ではありません。

 歯周病の影響もありますが、加齢に伴い歯ぐきが下がりやすくなり、歯の根の部分が露出してきます。歯の表面はエナメル質という硬い組織で覆われていますが、根の部分にはエナメル質がなく、細菌が出す酸に弱いためむし歯になりやすいのです。

 また、加齢だけでなく病気や飲んでいる薬の影響で唾液の分泌が減る傾向があります。唾液は酸性になった口の中を中和するほか、食べかすを付きにくくしたり、初期のむし歯を修復するなどの能力があります。

 しかし、唾液が減ると効果が期待できなくなります。加齢で歯の神経が通る管も細くなるため、痛みを感じるようになるのが遅れ、歯が折れるくらい進行するまで気付かなかった、といった例も少なくありません。

 むし歯になるリスクだけでなく、むし歯が原因で全身的な影響を受ける危険性も高いので、高齢の方も注意が必要です。

 (県歯科医師会)