「コロナワクチン接種」 研修条件に歯科医も協力

 

 新型コロナウイルス感染症への対応策の一つにワクチン接種がある。海外では薬局などで手軽にワクチン接種が可能で、接種に特典まで出る国もあるくらいだ。日本はワクチンの確保に難儀し遅れていたが、医療従事者や高齢者への接種が始まった。

 そんな中、ワクチン接種会場での医師、看護師の不足が問題視され、海外の事例にならった「歯科医師のワクチン接種実施」の報道が散見されるが、日本では原則的にワクチンの筋肉注射は、歯科医師ではなく医師が行える医療行為「医行為」である。違法性を阻却しない限り歯科医師は行えない。

 一方で「歯科医師は口の中の注射しかできない」との報道には誤解がある。口腔(こうくう)外科・麻酔領域では、口腔外からの麻酔や静脈内注射も歯科治療の中で行われている。さらに歯学部教育と臨床研修においても学んでいる。健康な人へのワクチン投与が医行為なのだ。

 2021(令和3)年4月26日付で、厚生労働省通知により筋肉内注射に必要な教育研修と実技研修の受講などを条件に、歯科医師が新型コロナワクチンの接種を行えることとなった。

 すべての歯科医師ができるわけではないが、コロナ禍の中、少しでも日本の国民の力になれれば協力は惜しまない。

(県歯科医師会)