「歯磨きの効果」 頭頸部がんや肺炎防ぐ

 

 歯磨きの回数と、頭から首にかけてできる頭頸部(けいぶ)がんの関連性を意外に思われるでしょう。国内の約3500人を対象にした愛知県がんセンター研究所の報告では、1日1回、歯磨きをする人を基準にすると、歯磨きをしない人は1.8倍、がんになりやすかったのです。1日2回以上歯磨きをする人は、がんを発病する危険度が2割も減少していました。

 歯磨きをしないと、口の中の衛生状態が悪くなり、むし歯菌が粘着性のあるプラーク(歯垢(しこう))を形成して、歯周病菌など細菌が繁殖しやすい環境となり、口の中が細菌に感染し続けます。口腔(こうくう)内細菌には、発がん性が指摘されているアセトアルデヒドを作り出すものがあり、その影響で、がんの発症を高める危険性があります。

 歯磨きを怠ると肺炎になりやすいことをご存じでしょうか? 特に高齢者の方は要注意です。肺炎で死亡する9割以上が後期高齢者で、90歳以上の死亡原因では2位になっています。その原因が「誤嚥(ごえん)性肺炎」と言われています。誤嚥性肺炎は、口の中の唾液や細菌が誤って気道に入り込んで起きます。肺炎を防ぐためにも、毎日の口腔ケアと食事中の誤嚥防止が重要です。

 がんの予防や誤嚥性肺炎を防ぐためにも毎日の口腔ケアが大事ですので、年に最低一度はかかりつけ医で指導を受けましょう。

 (県歯科医師会)