「口の役割」 「食べる=生きる」検診を

 

 口には「食べる」「息をする」「しゃべる」「顔や表情をつくる」「愛情交換」など、人間社会で生きるための重要な役割があります。そのため、体の各部位の機能を受け持つ大脳の感覚野と運動野の占める割合は、口腔(こうくう)領域と手先が最も大きいのです。

 自然界の動物にとって、歯を失い食べられなくなることは死を意味します。人間は歯を失っても歯科治療や非経口栄養摂取で生き延びることができます。食べることは生命維持の根幹です。「生きるために食べる」そして「食べるために生きる」のです。また、呼吸器官として口呼吸が鼻呼吸を補います。発語では、声帯のほか舌や歯、唇などの巧みな協調運動で多彩な音声が作られ、言語的コミュニケーションを可能にします。

 顔面の目鼻口の形とその配置は、個々人の顔貌(がんぼう)を特徴づけます。感情は目元と口元の変化に表れますが、昨今の口を覆うマスクが個人の特定や表情の読み取りを難しくし、困ります。愛情表現のキスは口の非言語的コミュニケーション機能として、大脳に快感をもたらします。

 きれいな歯並びと白い歯から生まれる笑顔は周囲の人々に好感を与えるものです。口の機能に障害を与えるむし歯や歯周病を予防し、口臭を防止するために、3カ月に1回程度は歯科医院で専門的クリーニングを受けることをお勧めします。

 (県歯科医師会)