「歯の色」 人種、年齢、部位で違い

 

 天然の歯は白衣のような白色ではなく、どちらかといえば黄色系白色です。また、歯全体が一様なモノトーンではありません。歯の色は表層のエナメル質の下層にある象牙質の色を反映しています。皮膚や毛髪と同様、歯の色に個人差があります。それは、人種や年齢、歯の種類と部位などに影響されます。

 歯科治療では世界共通のヒト歯の色見本(シェードガイド)を参考にしていますが、有色人種は白色人種より黄色みが強いようです。若者と高齢者では後者の方が明るさが暗く、黄色みは強いです。従って、同一個体でも加齢とともに変化します。

 前歯と奥歯では歯の形や厚みの違いで、同一の歯でも先端と歯肉寄りでは異なります。例えば、前歯の先端部はノミの刃のように薄いため透明感があります。そのため口腔(こうくう)内の暗さが透過して、黒いと感じるかもしれません。一方、歯肉に近い部分は歯が厚いため黄色みが強くなります。

 古来、美人の条件とされた「澄んだ瞳と白い歯」を意味する明眸皓歯(めいぼうこうし)の"皓"は元々"光"の意味からきており、日の光るさまから白い意味になったといわれています。従って、色彩的に"白"だけでなく、よく磨かれた"艶"のある清潔な歯というイメージなのです。清潔な歯を維持するために毎日のブラッシングに加え、歯科医院でのクリーニングをお勧めします。

 (県歯科医師会)