「外科手術前に歯科治療」 きれいな口腔、退院早める

 

 「手術が決まったので歯科治療をしてくるよう外科の先生に言われた」。このような理由で来院される方が何人もいます。

 全身麻酔下で外科手術を行うとき、気管挿管する際に歯周病やむし歯があると、歯垢(しこう)の中にいる細菌がチューブを通して肺に入り、肺炎を起こしやすくなります。

 手術後の合併症として生じる恐れのある誤嚥(ごえん)性肺炎や菌血症(放射線治療などで発症する)では、口の中の細菌が悪さをすることがあります。

 口腔(こうくう)内の管理をきちんと行ってもらってから手術を行うと、そうでない方に比べ入院日数が減るといわれており、その効果は高いと思われます。

 心筋梗塞をはじめとする循環器系の手術のほか、胃がんや食道がんといった消化器系の手術、高齢者に多い大腿(だいたい)部骨折の手術などでも、入院日数が減るというデータがあります。

 そのため、大きな手術の前に口の中の管理を勧める医療機関が増えてきています。しかし、歯科治療は根の治療をはじめ、歯周病の治療など1回では終わらないケースが多いのです。

 突然の手術になった場合にも対応できるように、歯科医院で定期検診を受け、管理してもらうことが大切です。

 (県歯科医師会)