「歯数と健康寿命」 歯の喪失、認知症リスク増

 

 「健康寿命」は「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されています。平均寿命と健康寿命との間には、男性で約9年、女性では約12年もの隔たりがあります。誰しも健康に生涯を全うしたい、要介護状態にならないよう過ごしたいと考えるでしょう。

 では、平均寿命と健康寿命との隔たりをどう埋めていけばよいのでしょうか。介護が必要になる主な疾患には、認知症や脳血管疾患(脳卒中)、高齢による衰弱などがあります。特に認知症は2019年国民生活基礎調査によると第1位で、17.6%を占めています。認知症予防のためにお口の中から考えてみます。

 まず、歯がなく入れ歯も使用していない人は、歯が20本以上残っている人や入れ歯の人に比べて、認知症の発症リスクが最大1.9倍になるという報告があります。従って、歯を失わないのが理想ですが、失った部分を補うことが重要となります。

 また、歯を失う原因で最も多いのは歯周病です。近年では歯周病と、数ある認知症の種類の中で最も割合の高いアルツハイマー型認知症とが関連するといった報告もあります。

 歯周病は痛みなどの自覚症状が出にくいため、定期的に歯科医院で検査し早期治療するほか、まめに歯科衛生士の口腔(こうくう)衛生指導を受けることをお勧めします。(県歯科医師会)