「自臭症と他臭症」 口臭「自覚なし」に注意

 

 心理的口臭とは「自分は口臭がひどい」と思い込んでしまうことです。これは「自臭症」といわれる症状で、心理的背景として過去に「口が臭い」と指摘された方が陥りやすいといわれています。

 われわれ歯科医師は毎日多くの患者さんの口を診療していますが、口臭を主訴に来院された患者さんの多くは「気にするほどの口臭ではない」と感じます。人間の口腔(こうくう)は言葉を発したり、食べたり、深呼吸をしたりするので常時前方に開いているのが普通です。

 それがマスクによって遮られているので呼気の流れが滞り、逃げ場がないために口臭(らしきにおい)が発生するのです。全ての人が感じていることなので過度な心配は無用です。

 それよりも歯科医師が警告したいのは「他臭症」です。

 自臭症は大して口臭もないのに口臭がひどいと思い込んでいる症状に対して、他臭症はかなりひどい口臭があるのにもかかわらず、自覚がない症状です。本人に口臭の自覚がないため状態を改善するという意識も低く、口腔内も劣悪で病的な進行が著しいのです。

 自分で口臭があると思い込んでいる方は、常にケアを行っているので過度の心配はいりません。むしろマウスケアの過剰摂取により口腔内免疫のバランスが崩れやすいので注意が必要です。

 (県歯科医師会)