エネルギー非常に小さく

 

 原発の汚染水に関する問題の中で、「トリチウム」という放射性物質が登場します。トリチウムは今回の原発事故によって周辺にばらまかれた人工の放射性物質であると同時に、自然界で常に作られる天然の放射性物質でもあります。

 このトリチウムは、原発事故以前から「計画的」に世界各国の原発や核燃料サイクル施設から周辺の海域や川に放出されていました。2000年ごろのデータでは英国の原発から年間で合計2000兆ベクレル以上、もちろん日本中の原発も例外ではなく年間で合計約400兆ベクレルでした。

 数字の大きさにびっくりされるかもしれません。もちろん垂れ流すわけではなく、安全性を考えたルールに従って放出がされていました。

 このように数字が大きくなる理由は、トリチウムから発せられる放射線のエネルギーが非常に小さく、人体への影響(被ばく「量」)が他の放射性物質に比べ桁違いに小さいためでした。トリチウムは数千万ベクレル食べて初めて1ミリシーベルトの被ばくとなります。そのため、十分に安全なレベルで放出できると決められた値も桁違いに大きかったのです。