トリチウムの「トリ」は3

 

 すべての物質は目に見えない小さな「陽子・中性子・電子」の粒がそれぞれ何個かずつ集まってできています。セシウム134や137など、物質の後ろについている数字は、陽子と中性子の粒の個数の合計でした。

 134や137など、ほとんどの放射性物質の呼び名にはこのように数字が付いていますが、数字を付けずに呼ばれるものもあります。原発事故後よく耳にするのは、汚染水の問題で取り上げられる、トリチウムでしょうか。

 トリチウムは陽子1個と中性子2個(合計3個)が集まってできたものです。化学的な性質は陽子1個だけの水素と同じです。トリチウムの「トリ」は3という意味なので、三重水素とも呼ばれますし、「水素3」と言った方が分かりやすいかもしれません。他の水素と同じく、トリチウムの多くが水として存在しています。

 トリチウムは出す放射線のエネルギーが非常に小さいことが知られています。また体の中に取り込まれたとしても水と同じため、体の一部だけにたまることがありません。それが他の放射性物質に比べて身体への影響が小さい理由の一つです。