「がん」形を変え免疫逃れる

 

 現在、日本人の2人に1人は一生のうちに何らかの「がん」になります。がんは全ての人に起こり得る身近な病気です。

 食生活や飲酒・喫煙、感染症、放射線などがんの原因にはさまざまなものがありますが、その中で免疫力の低下とがんの関係を聞かれたことがある方もおられると思います。

 私たちが持っている免疫システムは、身体の中を常に監視して、自分自身の身体(自己)とウイルスや細菌などの自分ではないもの(非自己)を識別して、非自己を排除して私たちの身体を守るシステムです。

 がん細胞も私たちにとって異物のはずです。ある程度まで増えると、免疫システムの監視にひっかかり排除されるようになっています。

 しかし、このがん細胞は少しずつ形を変え、免疫システムの監視からうまく逃れる能力を獲得していきます。そして最後には免疫システムを押さえ込み、がん自身がどんどん大きくなっていく能力を獲得してしまうのです。

 まだまだ分かっていないことも多いのですが、ストレスなどによる免疫機能の低下はがんの進行に悪影響を及ぼすであろうことが言われています。

 皆さんのおかげで200回目を迎えることができました。いつも支えてくださる多くの方々に感謝です。

 (福島医大特任教授、相馬中央病院、南相馬市立総合病院、ひらた中央病院などに勤務・坪倉正治)