内部被ばく、摂取食品で差

 

 これまでの記録の中で、1986年のチェルノブイリ原発事故と今回の東京電力福島第1原発事故の二つが最も重大であるレベル7(=深刻な事故)とランク付けされています。この二つはレベルが同じに分類されてはいるものの、状況やその後の対策など異なる点が多くあります。

 二つの事故後の放射性ヨウ素による甲状腺の被ばく量が2桁近く異なることは既にご紹介しましたが、セシウムによる内部被ばくも異なります。

 内部被ばくは汚染した食品を継続的に摂取してしまうことで起こります。チェルノブイリの事故後、年がたつにつれ空間線量は下がるのに対して、内部被ばくは地域によっては高いまま維持されてしまったり、再度上昇したりと長期的に問題になりました。

 その一方で、現在の福島では内部被ばく検査や食品検査で、もう何年もほぼ検出すらしなくなっているのはご存じの通りです。旧ソ連と現在の日本では時代背景に加え、土壌の質や食品の種類、流通経路や検査態勢も異なります。農家の方々の多大なる努力も大きいです。事故による余分な被ばくが現在もあるとすれば、そのほとんどが外部被ばくから起こります。これはチェルノブイリ事故後との大きな違いです。

 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。皆さまにとって幸多い1年となりますよう。