核実験禁止条約、効果なく

 

 第2次世界大戦後に激化した東西陣営の対立は、核兵器をはじめとする軍備拡張競争を加速化させました。世界中に存在する核ミサイルの数はどんどん増え、それに伴い核実験の数も増えていきました。キューバ危機の起こった1962年には世界で178回もの核実験が行われたのです。

 当時の核実験はそのほとんどが大気圏内で行われたため、放射性物質が世界中に飛び散り、人々に被ばくをもたらしました。そんな中、米国、旧ソ連、英国を中心に地下以外での核実験を禁止する条約(部分的核実験禁止条約)が調印されます。しかし、フランスや中国は参加せず、その後も核実験が世界各地で行われました。

 そして冷戦の終結後の96年、今度は地下を含むあらゆる場所での核実験を禁止する条約(包括的核実験禁止条約)が国連総会で圧倒的多数で採択され、日本はこれに賛同しました。しかし、現在も米国、中国、インド、パキスタンをはじめとする核兵器保有国が賛同せず、採択から20年以上たった今でも効果を持たないのが現状です。