放射線影響しやすい骨髄

 

 私たちの体中の骨の中には、骨髄と呼ばれる血液を作る工場があります。その工場の調子が悪くなり、正常な血液成分を作ることができなくなる状態のことを、白血病と呼びます。白血病は血液のがんです。

 ある特定のウイルス感染、発がん物質や薬による影響などに加え、大量の放射線を浴びることは白血病の原因となり得ることが分かっています。

 広島・長崎では、原爆による放射線のため、白血病に加えて、胃がん、肺がん、大腸がん、乳がんなどで命を落とす方が残念ながら増えてしまったことが知られています。その一方で、膵臓(すいぞう)がん、子宮がん、前立腺がん、悪性リンパ腫では増えませんでした。

 白血病と放射線の関係がよく知られている理由の一つは、同じだけ大量に放射線を受ける場合、骨髄は他の臓器に比べて放射線の影響を受けやすいからです。しかし、白血病は、その他のがんに比べると、もともと患者さんの人数が多くありません。そのため、原爆の放射線のために白血病となった方の人数は、ほかのがんの合計に比べれば少ないです。

 もちろんこれは、今回の事故による放射線の「量」に比べて、桁違いに多い場合の話です。原発事故のために、白血病になる方が増えるとは予想されていません。