放射線以外の影響も注意

 

 原発事故後、放射線被ばくによる身体への影響は、さまざまな検査や対策が必要である重要な健康問題のひとつでした。しかし実際には、放射線被ばく「量」が抑えられ、今後は放射線以外の健康問題にも目を向ける必要があります。

 除染や復興作業に従事されている方々の健康に関しても同様です。例えば、除染で土ぼこりが舞い上がる場所で仕事を毎日すれば、それによる内部被ばくは気になります。避難指示が出ている地域のパトロールや、線量の高いところを通ることによる外部被ばくを気にする方もいます。もちろん、放射線の「量」が少なくなるようにしっかりチェックして、管理することは必要です。

 しかし、健康の観点からだけ言えば、お砂糖の多い缶コーヒーを毎日飲んだり、短時間でドカ食いをしたりすることで糖尿病が悪化したり、暑い中で水分や休息を十分に取らず熱中症になったりすることの方が、そのまま命に直結してしまう、より重要な課題です。

 例えば、野菜不足の生活は数百ミリシーベルトの被ばくと同じです。生活習慣が及ぼす健康への影響は、現在われわれの日常生活で登場する放射線の「量」に比べて、文字通り桁違いに重要となります。一つのリスクにとらわれず、バランスを取ることが重要です。