妊婦の検査体制を整える

 

 原発事故後、放射線被ばくを抑えるためにさまざまな検査や対策が行われてきました。そしてその結果は報告書や論文にまとめられています。ここではその中のいくつかを紹介したいと思います。

 南相馬市立総合病院では、2012年から通常の内部被ばく検査に加え、希望される市内の妊婦さんに対し、検査ができる体制を整えてきました。妊娠中には被ばくがより心配になるのは当然です。この検査は南相馬市の医師会長だった故・高橋亨平先生の声掛けで始まりました。

 これまでの数年間に市内の約600人弱の妊婦さんを繰り返し計測し、誰からもセシウムを検出したことがありません。その一方で、いわゆる福島県産を避けるという状況は年々減ってきてはいるものの、依然として存在していました。

 妊婦さんは妊娠していない大人に比べて、セシウムが身体の中に入ったとしても、より早く外に出すことができます。通常の大人でももうほぼ検出しないような状況の現在、妊婦さんの誰からも検出はしなかったことは特に驚くような結果ではありません。

 この結果は、今回の原発事故後セシウムによる内部被ばくが妊婦さんおよび生まれてくるお子さんの健康に影響を与えることはないことを示しています。