「安定ヨウ素剤」自治体備蓄

 

 今回の原発事故をきっかけに原子力事故に対する備えをしっかりと行うことの重要性が再認識されました。それに合わせて、さまざまな制度やするべき備えが改変されています。

 備えの一つが、「安定ヨウ素剤」の配布と備蓄です。

 原発事故直後には、「放射性ヨウ素」が飛び散り、空気や水・食品から甲状腺に「放射性ヨウ素」が取り込まれ、放射線を浴びる可能性があります。「放射性ヨウ素」は半減期が8日と短く、事故初期にしか問題になりませんが、チェルノブイリ事故後には甲状腺がんの増加などの大きな健康被害をもたらしました。

 その「放射性ヨウ素」が身体の中に入る前に、通常のヨウ素をたくさんとることで甲状腺を満たし、「放射性ヨウ素」が甲状腺に入り込むスキを奪うのが「安定ヨウ素剤」です。「放射性ヨウ素」が甲状腺に取り込まれることをブロックするため、理想的には「安定ヨウ素剤」はできるだけ「放射性ヨウ素」に身体が曝(さら)される24時間前から、曝されて遅くとも8時間後までに内服する必要があります。

 発電所から半径5キロ以内の地域では、この「安定ヨウ素剤」は事前に個別に配布されることになります。それに対して、半径5キロから30キロの地域では公共施設に自治体が備蓄し、緊急時に配布することとなっています。