備え重要、避難の制度改変

 

 今回の原発事故をきっかけとして、原子力事故に対する備えをしっかりと行うことの重要性が再認識されました。それに合わせて、さまざまな制度やするべき備えが改変されています。

 現在の制度では、発電所からの距離によって、前もっての備えや避難指示のタイミングについての考え方が異なります。発電所から半径5キロ以内の地域では、緊急事態の際には放射性物質が放出される「前」の段階から予防的に避難することとされます。その一方、半径5~30キロ以内の地域では、緊急事態の際、その時に実際に測った放射線量の値に基づいて線量の高い区域を特定し、避難すべきかどうかが決められることになっています。

 ただ避難と言っても、病院や老人ホームにおられる方だけではなく、在宅で治療を受けておられる方、高齢者、障害のある方、乳幼児など、自ら避難することが困難な方が多くおられます。そのため、あらかじめの受け入れ先の決定や、一部の地域が孤立した場合の対応のシミュレーションなども行われるようになりました。

 また今回の震災の教訓を踏まえ、災害対策基本法が改正され、前もっての避難に支援が必要な方の名簿作成が自治体に義務付けられるようにもなっています。