災害後の健康、まだ要注意

 

 先般の台風および大雨に関連した被害に遭われた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。これまで災害後の健康の面で気を付けることとして、感染症や高血圧、エコノミークラス症候群、薬の中断といったものを紹介してきました。

 災害による健康の問題というと、災害の起こった直後のことや、避難所での不便な生活、その復旧作業にまつわることがまずは挙げられます。しかし多くの場合、それで話は終わりません。

 先の震災でも、震災がきっかけで糖尿病や骨粗しょう症(骨がもろくなること)などの生活習慣病の管理が悪くなったり、認知症が進んで介護がより必要になったり、病院やさまざまな施設へのアクセスが悪くなったりといったことが起こりました。避難所から新しい住居に移動すれば、そこでの変化がまた身体に負担をかけます。

 日々さまざまな情報にさらされる私たちの関心は移りやすく、時間の経過とともに、災害による問題の一つ一つはだんだんと目につきにくくなり、地域全体としては問題なく思えることもあります。徒競走をすれば足の速さは皆バラバラです。ゆっくり歩む方を、足の速い方が気付いて振り返って支える。そのような取り組みを息長く続けることが大切になってきます。