影響受けやすさ...臓器で差

 

 放射線による身体への影響の中には、血が止まりづらくなったり、下痢をしたりといったものがあります。大量に放射線を浴びると誰であれ「必ず」起こるために「確定的影響」と呼ばれます。

 さまざまな症状の中でも、大量に放射線を浴びた際、どうしてこれらの症状が出るのかと思われる方もいるかもしれません。その理由は、身体の中の臓器ごとに放射線の影響の受けやすさが異なるからです。

 細胞の分裂が盛んで、未熟な細胞の方が放射線による影響を受けやすいことが知られています。例えば、骨の中の骨髄というところは血液を作る工場です。そこでは細胞が絶えず分裂して新しい血液を作っています。血液となる元の細胞は、放射線の影響を受けやすく、大量の放射線を浴びると血液の供給ができなくなります。

 また水分や栄養を吸収する消化管の表面も、常に新しい細胞に置き換わる新陳代謝が激しい部位のため、放射線の影響を受けやすいです。その一方で、大人になると細胞分裂をしなくなる神経組織や筋組織は放射線に強いことが知られています。

 もちろん、今回の原発事故に伴い、私たちが日常生活で浴びるかもしれない放射線の量は、数百ミリシーベルトに比べて桁違いに低いです。そのため、日常生活で、前記のような放射線による「確定的影響」が起こることはありません。