被爆2世、染色体影響せず

 

 広島・長崎での原爆投下後、妊娠して生まれてきた世代(被爆2世)において、がんやその他の疾患の増加(遺伝的な影響)は認められていません。今日はこれをもう少し具体的に説明したいと思います。

 被爆2世の方の染色体異常については、これまで細かく検査が行われてきました。染色体とは、たくさんの遺伝情報のかたまりです。

 どちらかの親が、原爆投下時に爆心地の近くで放射線を浴びた場合、その子どもに染色体異常がないか、両親ともに原爆投下時には市内にいなかった、または爆心地から遠くにいた方の子どもとの比較が行われています。

 その結果、親が爆心地の近くで放射線を浴びた場合と浴びなかった場合で、染色体異常を持つ子どもの割合は変わりませんでした。

 そして、その後の両親および兄弟姉妹の検査結果から、染色体異常の多くは新しく生じたものでなく、どちらかの親がもともと持っていた異常であり、それが子どもに遺伝したものであることが分かりました。

 このような結果が、私たちが今回の事故の放射線による遺伝的な影響を危惧する状況にないことを示す根拠となっています。