食物を通して放射性物質

 

 天然の放射性物質である放射性カリウムは、常に一定量身体の中に存在し、私たちは年間に0.18ミリシーベルトほどの放射線を受けています。身体の中にある放射性物質から放射線を浴びるため、放射性カリウムによって内部被ばくしていることになります。この放射性カリウムに加えて、前回ご紹介した炭素―14やトリチウム(いわゆる水素―3)といった放射性物質も私たちは口から取り込んでおり、内部被ばくしています。

 さまざまな天然の放射性物質の中で、日本人の内部被ばくの大きな割合を占めるのが、鉛―210とポロニウム―210という放射性物質です。

 これらは大気中にある放射性ラドンが変化する際に作られる放射性物質なのですが、河川や海に沈んで、魚介類などの食物を通して私たちの身体に取り込まれます。この現象は魚介類を多く摂取する日本人の食生活に特徴的で、欧米諸国とは異なります。

 この鉛―210やポロニウム―210から、私たちは年間に0.8ミリシーベルトほどの放射線を受けています。放射性カリウムからよりも多く、外部被ばくと内部被ばくあわせた私たちが身の回りから受ける放射線の4割ほどを占めています。