放射性ラドン、空気に存在

 

 私たちの周りにはさまざまな天然の放射性物質が存在し、そこからある程度の量の放射線を私たちは日常的に受けています。

 これまで、私たちの身体の中に一定量含まれるカリウム―40や、人工であると同時に天然の放射性物質でもあるトリチウム(水素―3)、魚介類に多く含まれるポロニウム―210などを紹介してきました。これらは主に口から食べたり飲んだりすることで身体の中に入る放射性物質でした。

 もう一つ紹介しておかないといけないのが、放射性ラドンです。放射性ラドンは、土の中に含まれるラジウム(温泉などで聞いたことがあるかもしれません)という放射性物質が変化してできるもので、気体として空気中に漂っています。

 カタカナばかり出てくるのですが、もう少しだけお付き合いください。

 この放射性ラドンは地面や建物から空気中に常に広がっていくため、私たちは普段の生活において日常的に放射性ラドンを空気中から肺に吸い込んでいます。取り込まれた放射性ラドンは、身体の中でさらに変化して別の放射性物質となって移動し、身体の別の場所でも放射線を出します。

 放射性ラドンは場所によってその濃度が異なるため、一概には言えませんが、このような空気から吸い込むことで放射性物質を取り込み起こる内部被ばくは、私たちが周辺の環境から日常的に受ける放射線量の約2割から3割程度を占めています。