日本の線量、世界平均より少ない

 

 私たちの周りにはさまざまな天然の放射性物質が存在し、そこからある程度の量の放射線を私たちは日常的に受けています。

 これまでにいくつかの天然の放射性物質を紹介してきました。

 生命維持に必須のミネラルであるカリウムの中に一部含まれるカリウム―40、土から生じて屋内にたまり問題になることのある放射性ラドン、魚介類に多く含まれるポロニウム―210や鉛―210などです。他国と比べ、日本は家屋の通気性が良いこともあり放射性ラドンの濃度は概して低い一方、魚介類を多く摂取するためポロニウム―210や鉛―210からの放射線量は多い傾向にあります。

 私たちが放射線を受けるのには、外部被ばくと内部被ばくそれぞれにいくつかの経路があります。しかし放射線の量は場所ごと国ごとによって異なり、合計として自然界から日本国内の私たちが受ける放射線の量は年間で2.1ミリシーベルト、世界平均の2.4ミリシーベルトよりもやや少ない傾向にあります。

 その一方、日本での医療上の診断や治療で受ける放射線の量は、機械へのアクセスが良いこともあり、世界的に多いことが知られています。