最新の報告書、先月に公開

 

 今回の原発事故による放射線の被ばく量とその健康影響について、いくつかの海外の国際機関からもその評価報告書が発表されています。その中で、最も代表的なのが国連(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)からの報告書です。

 核実験が多く行われた1950年代、世界中に放射性物質がまき散らされ、環境汚染や放射線に伴う人体への健康影響について世論が高まりました。この国連の委員会は、そのような背景の中で設立され、チェルノブイリ原発事故後も同じように報告書を発表しています。

 報告書の中では、数十カ国の専門家からなるチームが、実際に計測されたり、行政や研究所から発表された放射線に関する値に基づき、周辺の環境の評価だけでなく、地域ごとの住民の内部・外部被ばくや、原発の作業員の被ばく量を推定しています。事故当時の住民の避難経路に合わせた被ばく量も推定されています。

 今回の原発事故に関する国連報告書は、2013年に最初のものが発表されました。その後一定期間ごとに振り返りを行い、これまでの評価の確認がされてきましたが、先月に「2020年レポート」として、最新版が発表されました。

 結論としては、将来被ばくが直接の原因となり、がんが増えるなどの健康影響が見られる可能性は低い、というものですが、その詳細について今後説明しようと思います。