被ばく影響、考え難い理由

 

 今回の原発事故による放射線の被ばく量とその健康影響について、海外の国際機関から評価報告書が発表されています。その中の代表格が、国連の委員会(UNSCEAR)から出される報告書です。今年の3月に2020年レポートとして最新版が発表されました。

 今回の報告書では、事故後にこれまで、甲状腺がんが多く見つかっていることについて、恐らく放射線被ばくとは関係がないであろう、とコメントしています。

 その理由としていくつかが挙げられています。

 一つ目は、甲状腺の被ばく量が小さいことです。先週ご紹介したように、推定される甲状腺の被ばく量は以前に比べてより小さい値に修正されました。その放射線の量では甲状腺がんが増えるとは考え難いからです。

 二つ目は、今回の事故後に見つかっている甲状腺がんの多くが、事故後あまりに早くに見つかっていることです。放射線を大量に浴びたことによってがんが生じるには、年単位の時間を必要とします。チェルノブイリ事故後の甲状腺がんの増加は、事故後最初の4年には見られませんでした。それに対して、今回の事故後に見つかった甲状腺がんの約半数は事故後4年以内に見つかっています。

 その他にもいくつかの理由を提示しています。来週にも続けてご紹介しようと思います。