増加した小児肥満が改善

 

 今回の原発事故による放射線被ばく量とその健康影響について、今年3月に国連の委員会(UNSCEAR)から、最新の報告書が発表されました。甲状腺がんを含め、放射線被ばくに伴ったがん増加の可能性は低いと報告されています。その一方、精神的な影響や生活環境が変わることによる健康への影響は甚大でした。

 今でも大きな課題の一つは生活習慣病です。生活習慣病は食事や運動・喫煙・飲酒・ストレスなどの生活習慣が深く関与し、発症の原因となる多くの病気を指します。高血圧、コレステロールが高くなる糖尿病などが有名ですが、それに加えて肥満や歯周病、痛風、脂肪肝、慢性の腎臓病、骨粗しょう症なども含まれます。

 この中でも大人の糖尿病が長期的に問題であることを先週紹介しました。

 その一方で、これらの生活習慣病の全てが震災後に悪化し続けているわけではありません。例えば小児でいうと、原発事故時に避難区域となった地域の7~15歳を対象とした小児健診の結果からは、震災後に肥満が増え、コレステロールや中性脂肪(脂質)の異常も認めていました。しかしその後のフォローで、脂質異常の改善は遅れているものの、小児の肥満は改善していることがいわれています。