高齢者の介護、交流が支え

 

 今回の原発事故による放射線被ばく量とその健康影響について、今年3月に国連の委員会(UNSCEAR)から、最新の報告書が発表され、放射線被ばくに伴ったがん増加の可能性は低いと報告されました。その一方、精神的な影響や生活環境が変わることによる生活習慣病などの健康への影響は甚大でした。ただ、そのような一つ一つの病名だけが、健康への影響ではありません。

 健康への影響の中で重要なものの一つが、特に高齢者に対する介護への影響でした。浜通りのとある地域では、震災後5年間において避難を余儀なくされた方々は避難されなかった方よりも要介護認定を受ける可能性が約1.6倍高かったことが報告されています。
 また、介護保険料は、その市町村でどれだけ介護サービスが必要かによってそれぞれ異なります。つい先日まで、全国の介護保険料の上位10市町村のうち、半分以上が浜通りの市町村という状況がありました。

 家族と離散したり、地域住民との交流が減ったりすることで、認知機能の低下や運動不足が起き、介護が必要な状態になりやすくなると考えられています。高齢者の介護は、いわゆる介護サービスだけではなく、人との交流の中で支えられているものです。このようなことは、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう現在も同様に課題となっています。