安定へ「アルファ粒子」排出

 

 全ての物質(原子)は「陽子・中性子・電子」の粒が何個かずつ集まってできています。それぞれの物質(原子)の中心には、陽子と中性子が固まった原子核があり、その周りを電子が回っています。

 陽子と陽子は電気のプラス同士のため、そのまま近づくとお互いに反発します。原子核の構造を保つため、陽子と中性子を無理やりくっつける、のりのような役割の力があり、それを「核力」と言いました。

 その一方、陽子や中性子の個数のバランスが悪いとその物質は不安定になります。これを放射性物質と呼びます。

 もう少し細かく説明します。例えばウランのように、合計200個以上のたくさんの陽子と中性子を一つの塊にすると、どうしてもバランスが悪くなります。のり付けの役割をする中性子の数に比べて陽子の数が多いと、陽子同士の電気的な反発にのり付けの核力が耐えきれなくなり、陽子を外に排出するしかなくなります。

 陽子2個と中性子2個の塊を排出するのが安定なため、その4個の塊を原子核の外に排出します。この塊をアルファ粒子と言って、吐き出されたものを放射線の一つであるアルファ線と言います。

 アルファ線は、たくさんの陽子と中性子が塊を作り、のり付けの中性子が足らない場合に排出されます。ウランやラジウムなど、たくさんの陽子と中性子が固まってできているものが、アルファ線を出す放射性物質の代表です。