健康影響、被ばく量が関係

 

 県民健康調査の一つである「甲状腺検査」は、震災時点で本県に在住していた18歳以下の全県民が対象の、現在の甲状腺の状況を見守るための検査です。検査を受けることは強制ではありません。そのため、検査を受けるかどうかについては、それぞれがさまざまな情報から判断していただく必要があります。

 放射線を受けることによって、その後に「がん」などの病気が起こりうるかどうかは、受けた放射線がどれくらいの量だったかによります。放射線はあるかないかではなく、私たちの周りの環境にも存在するため事故に伴いどの程度受ける放射線が増えてしまったかによるということです。

 今回の事故で甲状腺が受けた放射線の量は、実際に計測されたり、国連チームやさまざまなチームが計算によって推定したりとされてきました。

 もちろん受けた放射線がゼロということではありません。しかし、その量はチョルノービリ原発事故後とは桁違いに低く、国連の委員会は今回の原発事故による放射線被ばくの量からは、「放射線被ばくが直接の原因となるような将来的な健康影響は見られそうにない」。そして「子どもたちや胎内被ばくした子どもを含む、対象としたいずれの年齢層においても甲状腺がんの発生は見られそうにない」と結論づけています。