高緯度ほど放射線量増加

 

 宇宙から放射線が降り注いでいることは多くの方がご存じだと思います。標高が高くなると宇宙から地面まで到達する放射線の量は多くなり、飛行機の中では、地表にいるときに比べて多くの放射線を受けます。

 加えて、宇宙から地面まで到達する放射線の量は、緯度が高くなると、つまり北側になればなるほど多くなることが知られています。これは、地球が自転していることで地球の周りに磁場(磁石の力)が生まれ、それが宇宙からの放射線を防ぐシールドの役割をしてくれるのですが、この放射線を防ぐシールドが赤道に近いほど強くなる(緯度が高くなると弱くなる)からなのです。

 トリチウムは、核実験や原子力施設で作られる人工の放射性物質である一方、自然界で作られる天然の放射性物質でもあります。天然由来のトリチウムは、大気の上層において、宇宙からの放射線と、大気中の窒素や酸素が反応して作られます。

 緯度が高くなると、シールドが弱くなり、宇宙からの放射線も多くなるため、赤道に比べて緯度が高い地域の方が作られるトリチウムも多くなります。そのため、日本国内でも場所よって普段の雨に含まれるトリチウムの量は異なります。

 例えば沖縄と北海道で比較すると、緯度の高い北海道では、雨の中のトリチウム濃度は沖縄に比べ数倍高いことが知られています。