ラドン、場所で濃度異なる

 

 私たちの周りには、さまざまな種類の自然界の放射線が存在し、そこから日常的に私たちはある程度の放射線を浴びています。

 空気中に含まれている放射性物質として、よく知られているのがラドンです。このラドンは、天然の放射線について考える時に、とても重要な放射性物質です。なぜなら、私たちが天然から受ける放射線の「量」の多くの部分を、このラドンとその周辺の放射性物質が占めるからです。日本だと天然の放射線全体の約4分の1を、世界平均では約半分を占めます。

 この空気中のラドン濃度は、場所によって大きく異なります。国ごとにも異なりますし、土の種類でも異なります。屋外と屋内を比べても、空気中の濃度はラドンがたまるため、屋内の方が数倍高いことが知られています。水にもある程度溶けており、井戸水などの地下水に比較的多い傾向にあり、水道水では少ないです。

 ラドンを吸い込むことによって主に放射線を受ける臓器は肺になります。ラドンを吸い込むことは、喫煙に次ぐ、2番目の肺がんのリスク因子であることが世界保健機関(WHO)から発表されています。わが国では肺がんによってお亡くなりになった人の4%(約3000人)がラドンの吸入が原因と推定されています。