魚介類に多いポロニウム

 

 私たちの周りには、さまざまな種類の自然界の放射線が存在し、そこから日常的に私たちはある程度の放射線を浴びています。

 大きくは、〈1〉宇宙から降り注ぐ宇宙線によるもの〈2〉食品中に含まれている放射性物質によるもの〈3〉大地から出る放射線によるもの〈4〉空気中に含まれるラドンなどの放射性物質によるもの―の四つがあります。

 前回までご紹介してきたように、世界的に見れば、自然から私たちが受ける放射線のうち約半分を占めているのが、ラドンとその周辺の放射性物質でした。その一方、日本ではラドンが相対的に少ないため、その割合は約4分の1しかありません。その代わり、日本で自然から受ける放射線のうち、最も多くの半分弱を占めるのが、食品中に含まれる放射性物質によるものです。

 もちろんそれは、原発事故などに伴うセシウムとか例えばプルトニウムとか、トリチウムによるものではありません。天然に存在する、ポロニウムと呼ばれる放射性物質が原因です。

 これは魚介類、特にその内臓に多く含まれます。日本では魚介類の摂取が多いために、世界平均に比べてそこから受ける放射線が多くなっています。