水や食品にもトリチウム

 

 私たちの周りには、さまざまな種類の自然界の放射線が存在し、そこから日常的に私たちはある程度の放射線を浴びています。日本で自然から受ける放射線のうち、最も多くの半分弱を占めるのが、食品中に含まれる放射性物質によるものです。

 食品からの放射線は、自然界に存在するさまざまな放射性物質が影響していました。代表的なものが魚介類に含まれるポロニウムで、その次に多いのはほとんど全ての食品に含まれている放射性カリウムによるものでした。この二つで、食品からの放射線量のおおよそ90%を占めています。その残りの1割以下の部分は、ほかのさまざまな天然と人工の放射性物質によります。

 その中にトリチウムも含まれます。トリチウムは、核実験や原子力施設で作られる人工の放射性物質である一方、自然界で作られる天然の放射性物質でした。トリチウムによる健康影響は、身体の外から放射線を浴びる外部被ばくは問題とならず、あったとしても内部被ばくです。

 トリチウムもわれわれの生活の中で水や食品などに含まれ、それによる放射線量はゼロではありません。しかし、トリチウムを口から取り込んだ際の身体への影響はとても小さく、私たちの食品からの放射線量全体の10万分の1にもならないことが知られています。