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〔 3 〕 渡辺信雄 医師    
【 肺炎球菌 】
定期接種で重症感染症減

 【肺炎球菌とは】免疫の未熟な乳幼児では鼻やのどに高率に常在する細菌で、表面は莢膜(きょうまく)という細菌に対する防衛力に強い膜で覆われています。約90種類に分類され、そのおよそ4分の1が病原性を持っています。一般細菌としては肺炎の最大の起因菌です。肺炎や急性中耳炎のような局所感染症を起こすだけでなく、乳幼児では菌が血液に入って全身に広がり、細菌性髄膜炎や敗血症・菌血症のような生命にかかわる全身性の侵襲(しんしゅう)性感染症を引き起こすことがあります。日本の小児では中耳炎の約3割、菌血症の約7割、細菌性髄膜炎の約2割が肺炎球菌によるという報告があります。最近の抗生物質の乱用で多種類の抗菌薬に耐性の菌が増加して問題になっており、ワクチン接種による予防が最も大切な感染症です。

 【肺炎球菌ワクチンについて】肺炎球菌の莢膜の成分を用いたワクチンで、23種類を混合した23価ワクチン(ニューモバックス)と7種類の小児用7価ワクチン(プレベナー)の2種類があります。23価ワクチンは65歳以上の高齢者、慢性心・肺・肝・腎疾患患者、2歳以上の免疫不全者が対象で、わが国の肺炎球菌の約80%に対応します。1回の接種で5年以上の効果があり、その後2回目の接種も可能とされています。7価ワクチンは特に2歳未満の小児に侵襲性感染症を起こす頻度の高い7種類に対するワクチンで、日本では今年2月から導入されました。生後2カ月から9歳までが対象ですが、生後2カ月から6カ月の間に3回、誕生後に1回追加の4回接種が標準です。アメリカでは無料の定期接種として行われ、重症感染症が98%減少したと報告されています。
(県医師会会員)

=次回掲載11月26日


 



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