ワクチンで患者数が激減
ポリオ(急性灰白髄炎)は、以前「小児まひ」と呼ばれた病気で、1960(昭和35)年に、特に北海道で流行し、多くの麻痺(まひ)患者を出したことから問題化し、翌年に全国一斉の生ワクチン接種(口から飲む)が開始されました。
この病気は、ウイルスが原因で、罹(かか)った人の約5%の人が発症し、不全型と呼ばれる風邪症状を起こすが麻痺は残さないタイプ、髄膜炎型と呼ばれる発熱、嘔吐(おうと)などを起こすタイプ、麻痺型と呼ばれる片足などの麻痺を起こすタイプの3型があります。その中で一番重症なのが麻痺型の中で呼吸筋まで麻痺する場合で、死に至ることもあります。
【80年以降発生なし】ワクチン開始により、60年には年間約5000人もいた患者が、激減し、80年以降は、国内では発生しておりません。ただし東南アジアなどでは、まだ4カ国が、常在国ということもあり、ワクチンの重要性は現在も変わりません。
接種法は6週間以上の間隔を空け、2回行います。前述したようにウイルスのタイプが3種類あるため、2回接種することにより、全てのタイプに対する免疫が獲得できます。生後3カ月〜7歳半までに受けることになっています。
次にDPT3種混合ワクチンを説明します。
DPTとは、ジフテリア、百日咳(ぜき)(pertussis)、破傷風(tetanus)の3種類の病気のワクチンです。以前、先輩の先生が、「百ジハワクチン」とおっしゃっていたことを耳にしましたが、そちらの方が分かりやすいかもしれません。
【全て恐ろしい病気】百日咳は乳幼児期に罹ることが多く、連続した止まりにくい咳を特徴とする病気で、特に1歳前に罹った場合は、無呼吸発作を起こすことがあり、死亡する例も見られます。漫画家の矢口高雄さんは、小さい時に弟さんを亡くされていて、その様子を漫画に描かれていましたが、相当に苦しむ病気です。原因は百日咳菌です。
(県医師会会員)
=次回掲載2月18日
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