長生きはしたいものです!!

 
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 みなさんの笑顔と元気をサポートする「健康ジャーナル」。塩田博文歯科(棚倉町)の塩田博文先生が担当する歯の健康シリーズのスタートです。
長生きはしたいものです!!
歯科医師 塩田 博文先生
1980年に神奈川歯科大学を卒業。同年、故郷の棚倉町に塩田博文歯科を開く。95~96年、日本歯科医師会生涯研修セミナー「無歯顎の臨床」講師。2002年より塩田義塾塾長。「実際的総義歯づくり」(わかば出版)、「歯が痛くない時読む本」(砂書房)など著書多数。
 
 

 「健康」という文字を見ますと、じっくり読んでみたくなります。テレビや雑誌でもこの情報、本気で収集しようと誰もが夢中になります。

病気になってからでは手遅れ

 さて、世界一長寿の方に「健康の秘訣はなんですか?」と問いましたら、「病気にならないこと」という答え。ウケを狙ったと思えなくもないのですが、よく考えてみますと的を射ていて、それは、病気にならないことというのは予防医学が大切で、病気になってしまってからでは手遅れということを話されています。

 そんなこともあって、誰もが健康に注意を払って日々を送っています。本をじっくり読み、健康に良いことを実行し続けようとしています。もちろんこれは良いことで、悪いことではないのですが...。しかし、やはりできないなというか、続けることが難しいことも多いのも事実です。

 噛むことが食欲につながります

 そんな本の中に、ご飯はよく噛んで食べなくてはいけないと書かれています。30回以上噛んで食べると良いとも書かれています。確かに良いかもしれません。しかし、実行できる方はほとんどいません。食べるものにもよりますが、食事の時4~5回噛んで飲み込んでいるという報告もあり、これが実態です。

 ご飯はおいておきまして、例えば生のキャベツは噛まないと飲み込めません。千切りにしてもそれなりに噛まなければ喉も通りません。たぶん、よく噛めば胃にも優しく吸収も良いだろうと思います。

 これ、歯にも良いのです。歯医者の書くものですので、少し引き算しなければならないところがありますが、皆様納得していただける話です。

 さて、ご飯の話に戻します。玄米は良いという文献も多いです。玄米はそれこそ4~5噛みで飲み込むことはできません。よく噛むと甘くなり味わい深くなります。

 宮沢賢治は1日玄米4合を食べていました。完全食と言われている玄米なので栄養価は高いのだろうと思います。そして、味噌汁と少しの野菜で十分であるということを書かれています。

 現代は栄養不足というより、過食による肥満が問題とされていますので、この玄米食はいろいろな意味で良いとされています。おかずもあまり多く取らなくなり、カロリーを抑えることにも一役担っているとも言えます。

 たくさんしっかり噛んでと言われると、それはある種、苦痛ではありますが、玄米ならそれができるようです。例えばチャーハン、ピラフをまったく噛まないでスープで流し込むことはできますが、ひと噛みでもふた噛みでもすれば、その美味しさがわかります。このことが単に消化するだけでなく、食欲につながります。

 この美味しさは食べる意欲を持たせてくれ、また喜びにもつながります。食べるということは、生命を維持するうえで絶対的なものです。

 私たち歯科医師は「摂食」なる難しい?表現をしたりしますが、食べるというのは、食べたいという欲求がなければ口に持っていかない訳です。そして、喉が通るようにするには、歯で切らなければなりません。

 加熱し調理すればそれなりにスムーズに食べられることもありますが、やはり歯によって切断しなければ、時に窒息することもあり、困ったことになりかねません。歯はそんな役目もあり、単に消化を助けるということだけではないようです。

よく噛めないと食べられない 食べ物を食べるようにする

 ほんの少し前、太っているということは富の象徴で、多くの方々は憧れを持っておりました。しかし、社会全体が豊かになり、あまりに太った人を見れば、どこか体の具合が悪いのではないかと、心配されてしまいます。

 ダイエットの本や太らないというキーワードの食べ物の宣伝文句は、購買意欲を駆り立てます。時に歯がほとんど無く丸飲みをしていらっしゃる方で、肥満の方を見かけることもあります。歯が無いと栄養が取れないということではないと思わせます。

 体に良い食べ物をどうやって取り入れるかが大切なことで、それにはいろいろあろうかと思うのですが、ひとつは、よく噛めないと食べられない食べ物を食べる、ということではないかと思います。こういう食べ方をすれば、総じて過食にはならず、肥満を防止し、長生きにつながります。

11月号より