夏本番までに無理なくできる肥満の予防・解消

 

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 みなさんの笑顔と元気をサポートする「健康ジャーナル」。マブチ メディカル クリニック(東京・港区)の馬渕知子先生の「福島の食」でカラダを元気に美しく!!シリーズです。
夏本番までに無理なくできる肥満の予防・解消 
医師 馬渕 知子先生
東京医科大学医学部医学科卒業後、同医科大学病院皮膚科学講座に所属しながら同病院に勤務。その後、東京都港区にマブチメディカルクリニックを開設、現在に至る(院長)。内科学・皮膚科学が専門だが、あらゆる科と提携を結び、多面的に人間の体を総合的にサポートする医療を推進している。2012~15年「会津エンジン」講師。テレビ出演、著書も多数。
 
 

 梅雨も明け、夏の幕開け。みんなでワイワイと集まって食事をする機会や外食が増えたり、ビールやかき氷などが美味しくなる季節が始まります。しかし、このような食生活は肥満の原因にもなり要注意。さらに、クールビズだったり薄着になることで、ポッコリお腹や背中についた余分なお肉が目立つ季節でもありますよね。
 忙しくて毎日運動できない。美味しいものを我慢するのは無理。などという方のために、今回は、夏本番までに無理なくできる肥満の予防・解消について考えてみたいと思います。

正しい運動を取り入れる

 毎日、適度にカラダを動かす習慣をつけることは肥満の予防・解消に大切ですが、間違った運動をしていては痩せないばかりか、足腰を痛めてしまうことさえあります。
 まずは、自分の『運動常識』が正しいか確認してみましょう。(→チェックリストへ)
 実は、これらは全て間違った運動常識。
 ある程度まとまった時間、しっかりと運動しないと痩せないと思っている方も多いようですが、まずは、これが大きな間違い。家事や庭仕事、散歩などでも軽く汗ばむ程度の運動は、肥満の予防・解消に役立ちます。また、継続時間にこだわらず、カラダを動かせるときに意識的に動くことも大切です。汗をたくさんかくからといって、サウナに入っただけで安心しているのもNG。代謝は上がっていますが、筋肉の強化や脂肪減少に直接的には働いてくれません。
 そして、運動前後の食事も重要です。適切な栄養を取っておくことで脂肪の燃焼作用を高めることができますし、また、筋肉や骨・関節へのダメージも抑えカラダの負担も軽減してくれます。運動中に起こりやすい熱中症などを予防するためにも、カラダを動かすときはバランスの取れた食事と十分な水分摂取が不可欠になります。

お腹に潜む「肥満菌」

 その人その人の、体形の差を生む大きな要因のひとつは「運動習慣」や「食生活」ですが、最近「腸内環境」によっても太りやすさが違ってくると言われています。
 私たちのお腹の中には、約1,000種近くもの腸内細菌が住みついており、この細菌たちがバランスを取り合いながら私たちの健康な状態を維持してくれています。乳酸菌などをとって腸内環境を整えると免疫力の維持に役立つと言われているのも、このためです。
 最近の研究で、腸内細菌の中には肥満を後押ししてしまうような「肥満菌」が存在することがわかり、同じ食生活をしていても「肥満菌」が多い人のほうが太りやすいと考えられているのです。この「肥満菌」の量は遺伝的な影響だけではなく、腸内環境の良し悪しにも左右されることがわかっており、夏太り対策やポッコリお腹の解消のためには、良好な腸内環境が大切なのです。
 腸内環境を整える方法は色々とありますが、最も大切なのは食生活です。運動との相乗効果を高めながら、腸内環境を整えてくれる「食」をいくつかご紹介しましょう。

ポッコリお腹を"こづゆ"で撃退

 福島県の会津地方の郷土料理でもある〝こづゆ"は、この時期の体調管理にも、余分な内臓脂肪などを抑えるのにも役立つ一品です。
 その家庭ごとに具材や味付けは違いますが、豆麩、ニンジン、サトイモ、キクラゲ、糸こんにゃくなどを材料に使い、食物繊維が豊富であることが魅力のひとつ。食物繊維は糖分の吸収を抑え血糖値のコントロールに働いたり、また、腸内環境を整えるにも役立ってくれる優れもの。こづゆは様々な食材を使うことで、食物繊維以外にも含まれるビタミンやミネラル類の種類が多く、日ごろの栄養バランスに自信がない方にも取り入れてほしい料理です。
 夏の暑い時期にもホタテの出汁でさっぱりと食べられ、特別な日だけではなく、健康管理やポッコリお腹の撃退にも活用してみてください。食事の最初に食べるのがオススメです。

ブランド食材でカラダすっきり  

  川俣シャモ、伊達鶏、福島牛、麓山高原豚...などなど福島県は数多くの地鶏やブランド肉が有名。そして、これらの共通点は、良質な「タンパク質」が豊富に含まれていることです。
 「お肉」と聞くと「太りそう」と思っている方も多いようですが、これは間違った認識。鶏肉や質の良い赤身が多い牛肉・豚肉は、カラダの代謝機能を高め、運動による消費カロリーを高めてくれてダイエットに役立ちます。また、体温維持などにも重要な成分で、基礎代謝の向上や夏の冷房などによる冷え性の予防にも。
 自分に見合った「タンパク質」を十分に補給することは、足腰などを守るためにも必要ですから、適度な運動をしながらバランスの良い食事を心掛けることは忘れてはいけません。

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 これ以外にも、福島県は夏野菜&果物も豊富。旬の美味しい食材と伝統料理を組み合わせて、元気で美しいカラダを目指してください。

月号より