夏の目疲れを残さず、元気で若々しい視力を保つ

 

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 みなさんの笑顔と元気をサポートする「健康ジャーナル」。マブチ メディカル クリニック(東京・港区)の馬渕知子先生の「福島の食」でカラダを元気に美しく!!シリーズです。
夏の目疲れを残さず、元気で若々しい視力を保つ 
医師 馬渕 知子先生
東京医科大学医学部医学科卒業後、同医科大学病院皮膚科学講座に所属しながら同病院に勤務。その後、東京都港区にマブチメディカルクリニックを開設、現在に至る(院長)。内科学・皮膚科学が専門だが、あらゆる科と提携を結び、多面的に人間の体を総合的にサポートする医療を推進している。2012~15年「会津エンジン」講師。テレビ出演、著書も多数。
 
 

          

 夏も終盤。夏休みはお子さんやお孫さんら家族と過ごす時間が長く、お出かけや旅行など、いつもよりも行動的に過ごしたという方も多いでしょう。そのような中で「目の疲れ」や「物の見えにくさ」を感じていることはないでしょうか?

 また、「老眼」が進んだような気がする、と思っている場合も要注意です。目の使い過ぎは、目の遠近調節能力を落としてしまったり、夏の日差しによる影響が白内障の原因になる可能性があるからです。今回は、夏の目疲れを残さず、元気で若々しい視力を保つためのポイントをご紹介していきます。

「週末老眼」は20代から?!

 「老眼」と聞くと「年」や「老い」を連想される方も多いと思いますが、実は、老眼は年齢による体の変化だけで起きるものではありません。現に、最近では20代、30代での老眼現象も増えてきています。

 老眼とは、遠近のピントを合わせる目の調節力が衰え、近くのものが見えにくくなることが主な症状ですが、誰にでも起きる現象であり、病気ではありません。

 老眼の大きな原因は、(1)目の中のピント調整の役割をする水晶体の弾力が加齢ととともに低下すること(2)水晶体がピント調整するときに働く毛様体筋という筋肉が衰えること―で、(1)(2)どちらも加齢とともに起きやすくなります。しかし、目の使い過ぎ、寝不足、パソコンやスマホ、タブレットなどで手元を見ることが多くなるなどといったことでも、毛様体筋が固くなったり働きが悪くなり、年齢に関係なくピント調節機能が低下してしまうことがあるのです。

 疲れがたまる週末や夕方になるとピントが合いにくくなると感じることを「週末老眼」「夕方老眼」(現象)と呼ぶことがあります。同様にして、連休や長期休暇などは、目を休めているように感じがちですが、使い過ぎていることも多く、注意が必要なのです。

夏の日差しが白内障を招く?!

 さんさんと降り注ぐ太陽の光とともに、紫外線も私たちの体の中へと侵入しています。ですから、「紫外線」は肌に影響を及ぼし、日焼けを引き起こしたり、シミ・シワの原因になることはよく知られています。ここで忘れてはならないことが、紫外線は「目」にも影響を及ぼすということです。

 目に入った紫外線は、水晶体や硝子体といった目の大部分を構成する場所に変性を起こし、白内障の原因のひとつとして考えられています。

 紫外線は白内障だけではなく、目の表面を覆う角膜の症状や画像を映し出す網膜に影響を及ぼすこともあり、特に紫外線の強いこの季節には目のケアは不可欠です。

外出時はサングラス、 帰宅後はホットタオル

 老眼現象と白内障を防ぐためには、日頃からの目のケアが大切です。

 まず、日差しの強い日中の外出時はサングラスをかけるか、UV(紫外線)対策の加工がしてある眼鏡を選んでかけて出かけること。紫外線量は真夏はもちろんですが、9月、10月も多い季節なので注意してください。

 そして、その日の目の疲れはその日のうちに解消すること。老眼現象の大きな原因は毛様体筋のこわばりですから、ホットタオルやぬる目のお風呂で目の周囲を温めてあげることがオススメです。

 簡単な方法としては、水にぬらしたタオルをレンジで温めて蒸しタオルを作り、5~10分程度、目の上にのせて温めます。こうすると、目の周りの血液の流れが良くなり、より一層、毛様体筋をほぐす働きが高まります。

福島県の秋の果物で 若々しい目を維持しよう

 目の疲れを癒やしたり紫外線から目を守るために役立つ食材は、ビタミンAやビタミンCを豊富に含むもの。特に旬を迎える野菜や果物がオススメです。

 紫外線の影響を受けると、活性酸素という物質が増えたり、体が酸化状態に傾き、目の老化や白内障を進めてしまうことがあります。また、目だけではなく、シミ・シワなど肌老化にもつながりますから、老若男女、気に留めておいてほしい存在。

 福島県は、多くの種類の果物がこの時期に出回りますが、中でもモモ、ブドウ、サクランボ、イチジクなどはオススメ。野菜ならばシソ、ナス、オクラ、ニラなど、色が濃い野菜が良いでしょう。

 果物を食べる時間のポイントは朝食から昼食の時間帯。なぜならば、日中が最も紫外線の影響を受けやすいからです。また、果物には糖分が多いものもあり、夜に食べ過ぎると血糖値に影響を与える可能性もあります。

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 これ以外にも、長時間パソコンやスマホを使わない、暗い所で読書はしない、コンタクトの長時間使用を避けるなど、日常生活でも目を大切にすることはできます。

 目は一生使うものです。私たち日本人の平均寿命は女性約87歳、男性約81歳と長寿大国。いつまでも元気で若々しい目を維持するために、この時期はもちろん、1年を通して目のケアを忘れないでください。

月号より