肝臓を『いたわる』ことをお忘れなく!!

 

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 みなさんの笑顔と元気をサポートする「健康ジャーナル」。マブチ メディカル クリニック(東京・港区)の馬渕知子先生の「福島の食」でカラダを元気に美しく!!シリーズです。
肝臓を『いたわる』ことをお忘れなく!! 
医師 馬渕 知子先生
東京医科大学医学部医学科卒業後、同医科大学病院皮膚科学講座に所属しながら同病院に勤務。その後、東京都港区にマブチメディカルクリニックを開設、現在に至る(院長)。内科学・皮膚科学が専門だが、あらゆる科と提携を結び、多面的に人間の体を総合的にサポートする医療を推進している。2012~15年「会津エンジン」講師。テレビ出演、著書も多数。
 
 

          

 年末の忙しさに追われる一方で、忘年会、クリスマスや大晦日など、皆で集まって宴会が開かれる機会が多いのも12月。ついつい暴飲暴食ぎみになってしまわれることもあるのではないでしょうか?

 こんな時期に大切にしたい場所が「肝臓」です。アルコールを飲み過ぎると肝臓に負担がかかることは有名ですが、実は、食べ過ぎや疲労も要注意。昔から「肝心(肝腎)」とも書くように、心臓や腎臓と並んで肝臓も健康を維持するためには大切な場所。今回は、元気に楽しく1年を締めくくるための秘訣を考えていきましょう。

 人体の中で最も働き者

 肝臓は、右の肋骨の下あたりで黙々と仕事する、人体の中で最も働き者と言われる臓器です。

 アルコールに含まれる有害物質を処理することは有名ですが、それ以外でも口から入ったカラダの害となるものの多くは、肝臓が解毒・処理してくれています。

 逆に、カラダの材料を合成することも肝臓の役目。食べ飲みしたものは胃腸で消化・吸収されたのちに、ほとんどの栄養素が肝臓にいきます。そして、肝臓で新たにタンパク質やコレステロールなどがつくられて全身に運ばれていくのです。

 それ以外にも、色々な仕事をひとつの臓器でこなしています。

 肝臓が疲れると大変なことに?

 こんな肝臓ですから、疲れてしまったり、病気にかかってしまったら、カラダの様々な場所に支障をきたす可能性があります。日頃から肝臓に疲労がたまっていないかチェックすることが大切です。

 【肝臓の疲れでみられる代表的な症状】

 □疲れやすい、疲れが取れない
 □食欲低下(特に脂っこいものを受け付けない)
 □お酒がおいしいと思わなくなった
 □吹き出物が出やすくなった
 □血液検査で肝機能の異常を注意された

 肝臓は、栄養を貯蓄する役目も持っており、ある程度のエネルギーを蓄えておいてくれます。しかし、糖分・脂肪分などをとり過ぎると貯蓄オーバー。脂肪肝となって、肝機能の低下につながってしまうので、食べ過ぎにも注意が必要です。

 「いかにんじん」で肝臓サポート?!

 肝臓の機能をサポートする成分のひとつが「タウリン」。タウリンは多くの働きを持つ栄養素ですが、肝臓にとっても役立つことがたくさん。たとえば、肝臓の潤滑油として、アルコールの分解や有害ミネラルを排泄するサポートとして働きます。それ以外にも、壊れた肝臓の修復や肝臓の炎症を抑えるなど、肝臓強化には欠かせないといってもよい成分。

 このタウリンが多く含まれている食材が、イカやタコ、貝類です。

 そして、タウリンと合わせてとることで相乗効果が生まれるのがβ-カロテンやリコピン、ビタミンCなどが含まれる抗酸化作用のある食材です。緑黄色野菜をはじめ、大豆製品(納豆、豆腐など)、ニンジンやカボチャ、ジャガイモなど、冬の根菜類もうまく調理することで摂取が可能。福島県の「いかにんじん」や「豆数の子」もオススメの1品です。

 お水が肝臓のサポートに?

 肝臓は、つくったり壊したりと大忙しの臓器ですが、この過程で必要となるのが水分です。体内に十分な水分があって、はじめて肝臓は正常な機能を発揮できるのです。

 注意すべきは、アルコールの利尿作用。たとえば、ビールを大ジョッキで1杯飲むと約500mlの水分が体内に入ってきますが、ビールの利尿作用により出ていく水分は約550ml。つまり、差し引き約50mlの水分不足が発生します。アルコールを分解・排出するために水分は不可欠ですが、このようにアルコール類には利尿作用があるものも多く、お酒を楽しむ時は常に水と一緒に飲むことが、肝臓を守るための基本になります。

 福島県には美味しい日本酒が数多くありますが、この日本酒の傍らにも「お水」の存在が必須。日本酒の仕込みに使った「仕込み水」であれば、いうことありません。

 寒さと忙しさで体調を崩しやすい時期でもありますが、福島県の美味しく栄養のある食材とお水で、肝臓をいたわりながら、1年の終わりを楽しく健康に過ごしてください。

 私の連載は今回で終了です。1年間ご愛読ありがとうございました。

12月号より