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 【 家庭でできる応急処置TOP
平成20年5月16日
斎藤富善 医師       
循環器の領域から
心不全の症状や予防策

 前回に引き続き循環器領域から救急医療をご説明します。
 【心不全とは】なんらかの心臓の病気のために、全身に血液を送り出すポンプ機能が低下し、脳、肝臓、腎臓などの臓器に十分な栄養を送ることができない病的な状態です。この状態が急激に進み、急速に症状が出現する急性と、徐々に進行しながらも通常の日常生活を送れる慢性とに区別されます。原因となる心臓の病気として、急性冠症候群、高血圧性心臓病、心筋症、弁膜症などがあります。
 【心不全の症状とは】軽い運動でも息が切れ動悸(どうき)がする、安静にしていても呼吸困難感がある、横になると息が苦しく座っていないといられない、息苦しくて冷や汗がでる、などが代表的です。手足が冷たくなり、口唇や皮膚が紫色になり、尿量が減少したりもします。体に塩分と水分がたまりやすくなり、むくんできて体重も増加します。慢性の場合には、全身倦怠(けんたい)感や食欲不振などが出現することもあります。
 【急に息が苦しくなったら】速やかに医療機関を受診してください。呼吸困難感が強く冷や汗も伴うような場合には、救急車を依頼すべきです。注意すべきことは、本人が息苦しく座っていないといられない時に、周囲の人が安静にしようと無理に横にすると、心臓への負担が一気に増加し命にかかわる不整脈がでることもあるので、座ったままにしてください。病院では先生の診察や心電図、レントゲン写真、心エコー検査、採血検査などを受け、肺の病気などがないことを確認しながら心不全の治療と、平行して原因となる心臓の病気の治療も受けます。
 【心不全の予備軍、あるいは既に心不全のある人は】高血圧を含め、なんらかの心臓病がある人は心不全になる可能性が高い予備軍と言えます。また、心不全になったことのある人は再発しやすいのが特徴です。それらを予防するため、塩分摂取を制限すること、薬を飲み忘れないこと、激しい運動を避けることなどが大切になります。さらに、風邪などの感染症や、肉体的あるいは精神的ストレスなどが心不全発生あるいは増悪のきっかけになるので、これらをできるだけ避けることも必要になります。
(県医師会員)

 



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