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 【 家庭でできる応急処置TOP
平成20年8月15日
角田卓哉 医師       
消化管出血と便通異常
胃や十二指腸潰瘍の可能性

 消化管出血と便通異常について、原因と留意すべきことを説明します。
 【消化管出血】(1)吐血…すぐに病院を受診すべき症状ですが、原因として、胃・十二指腸潰瘍(かいよう)があります。特に、解熱・鎮痛剤を一定期間内服した方は注意が必要です。この種の薬は、出血性の胃炎(びらん)を起こすこともあります。潰瘍を繰り返す傾向にある方は、胃のヘリコバクター・ピロリ菌感染がかかわっているかもしれません。慢性肝疾患の既往のある方は、食道・胃静脈瘤(りゅう)破裂のリスクがあります。これらの出血は、黒色便(タール便)の下血となることもあります。
 (2)下血…赤色の出血であれば、主に大腸からの出血です。大腸炎と大腸憩室からの出血があります。虚血性大腸炎は、大腸の栄養血管(細小動脈)の可逆的閉塞で、夜間に発症することが多い傾向にあります。潰瘍性大腸炎(炎症性腸疾患)は、食生活の欧米化の影響からか、患者さんの総数が国内で10万人に迫ろうとしています。また、抗生物質(特に合成ペニシリン系)の内服で出血性大腸炎を起こすことがあります。大腸憩室は、壁の一部が小さな袋の形態で外側の膨出した異常ですが、憩室からの出血は内視鏡的止血術が難しい場合があります。下血の原因としては、痔核が最も多いですが、入院を要するような大量出血を起こすことはまれです。
 【便通異常・下痢と便秘】下痢の病因は、感染性と非感染性に分けられますが、大部分は前者です。病原体は、主として細菌、ウイルスですが、大抵は短日時で治ります。しかし、強い腹痛、37度後半以上の発熱などを伴う場合は、病院を受診して下さい。便秘では、腹部の手術歴のある方は、腸の癒着が関連しており注意が必要です。また、腹痛を伴うような頑固な便秘の時は、検査で腸のガス像を確認した方が良いと思います。
 最後に、前回取り上げた腹痛と今回の消化管出血、便通異常のどれもが消化器がんの症状であることも付け加えておきます。
(県医師会員)

 



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